Recumbent title 初乗り編 不安のどん底から有頂天へ

待望のリカンベントが我が家に到着、震える手で開梱、そして期待と不安の渦巻く初乗りへ・・


■ファーストコンタクト

家に帰ると玄関前に思わず目をむく程の巨大な段ボール箱が置いてあった・・というのは、購入編のとおり。さて、


丁度居合わせたスーさん夫妻と早速梱包をほどいてみた。そこにうちのかみさんも帰ってきた。

  

出てきたリカンベントを見た瞬間、皆から出てきた言葉は、
「かっこいい(大西)」
「かっこ悪い(嫁)」
「凄いねコレ」
「壊れそう」
「いやだー」
「ひどい・・(嫁)」
「太りすぎて自転車に乗れなくなった人が乗るものみたい」(これも嫁のセリフだが、映画WALL.Eに出てくる、未来の人類の乗り物のことらしい)

<=こんなの


まぁ、あれだ。男のロマンは往々にして理解されないことがある。男のロマンのベテランである自分は全く気にならない。
自分にとっては、イメージ通りのものだった。ひたすら感激するだけ・・
子供達は歓声を上げてヒラヒラとリカンベントの回りを走り回った後、飽きたのかお腹が空いたのかすぐに家の中へ・・

 

ちなみに、リカンベント購入後に何人かに見た目の印象を語ってもらったところ、
「キリン」、「ハンミョウ」に似てるなどの感想が寄せられた。



キリン


ハンミョウ・・


■初乗り

届いたリカンベントにすぐにでも乗ってみたかったが、乗りこなしが難しいと聞いていたので、休日にじっくりと公園あたりで練習しようと決めていた。
何しろWebの某質問サイトにも「どうしてもリカンベントに乗れません」という質問があったくらいだ。果たして運動神経の悪い自分に乗ることができるのか、寝ていてうなされるほど心配だった点だ。
今日のところは、写真を撮ったり跨ってみただけでとりあえず終了。通勤は明後日以降になるだろう。

・・・と思ったのだが、どうにも落ち着かない。
日も暮れて皆が引き上げていった後に、一人恐る恐るリカンベントのシートに腰掛けてみた。
そのまま背もたれに体重をかけてみたら、空がとても大きく見えた。
とても楽でリラックスできるのだが、自転車に乗っているという気がしない。このまま走れるとは思えなくて不安になる。

こんな不安な気持ちで今度の休日まで過ごせるだろうか?せっかくリカンベントが届いたのにうなされながら?そんなのは嫌だ。
意を決して、そのまま足を上げて家の前の緩い坂道を降りてみた。転ばない!
「乗れるんじゃない?」いつの間にか嫁さんが家から出てきて見守ってくれていた。
次に、同じように坂道を利用して走り出した状態から、ペダルに足を掛けて漕いでみた。漕げる!
今度は静止した状態からペダルに足を掛けて漕ぎ出してみた。漕げる!走れる!
思わず歓喜した。振り返ると嫁さんも笑顔でこちらを見ている。


緩い下り坂を利用することで、スムーズに転ぶことなく乗れるようになったようだ。ここまで、乗り始めてから5分くらい。 調子に乗って、低速のまま大きくハンドルを切ったら派手に転んだ。手を少し擦りむいたが、まったく気にならない。

すっかり暗くなったので、ライトを取り付けてそのまま近所を一周してみた。
春先の冷たい空気が頬をかすめ、気分が高揚していく。体の中で何かが覚醒していく感じだ。 面白い!
リクライニングしながら走るというのは、すごく新鮮な感覚だ。 前輪が小径で重心近くにあるためかステアリングの独特の挙動に戸惑うが、その不安定さがまた面白い。特に重心を傾けて思い切ってターンすると・・気持ちが良い。もう飛行機を操縦しているようなフィーリングだ。
自然と笑みがこぼれる。

リカンベントに乗っていると空がよく見える。今晩は綺麗な三日月だった。
近所を一週した後、そのまま近くの暗い森の中を疾走してみた。
視線が低いせいかスピード感があり、フルサスのフワフワとした快適な乗り心地と相まって、リカンベントは陸を走る飛行機だと感じた。これが私のリカンベントの第一印象だった(後で印象はもう少し違ってくるのだが、それは通勤編で)。

気が付いたらだいぶ走っていた、リカンベントの特性も分かってきた。
まず、乗り込むのが難しい。フロントブームをえいやっとまたいで、そろそろと腰を下ろす。油断するとブームを蹴っ飛ばしてリカンベントが倒れてしまう。
ハンドルの切れ角が小さいので小回りが利かない。狭い歩道をUターンするには、ブームをまたいだまま車体を持ち上げてよちよちと回るか、降りて車体を持ち上げて回転させるしかない。
低速時、特に漕ぎだし時は不安定だ。ギアを軽くしておかないとふらつく。
近くの見通しが悪いので路面の細かな段差や砂利を避けるのが難しい。
後方が見えづらい。先に飛行機のようだと言ったが、この点もファストバック型コクピットの戦闘機みたいだ。バックミラーと取り付けて良かった 。


ちなみに、上がファストバック型(P-40) 下が水滴風防型(P-51)

でも、これらの問題も些細に思えるほどリカンベントは魅力的だった。中毒性があると言っても良い。
自分の直感は当たった。テレマークに初めて乗った時とよく似ている。こいつは間違いなく自分の人生の良き相棒となるだろう。
何日か練習してから通勤しようと思ったが、明日の通勤に挑戦することに決めた(通勤編につづく)。


■みんなの初乗り

結局、リカンベントに乗るのは難しかったのか?
自分は意外と簡単だと思った。確かに癖があって難しいとは言えるが、少し練習すれば乗れない人はいないのではないかと思う。
実際に初めてリカンベントに乗ってみた人達の様子を見てもらいたい(ビデオ)。


バージョン:
リカンベント初乗り-.wmv 73MB
リカンベント初乗り-.mov 70MB
リカンベント初乗り-.m4v 15MB

私の回りの友人達は、概ね一発で乗りこなせるか、二〜三回転倒した程度で乗りこなすことができた。
しかし、リカンベントに腰掛けただけで「怖い」と言って降りたがる人もいる。 こうなると気持ちの問題なのだろう。
自分も最初は怖くてリラックスした体勢は取りづらかった。 自転車に乗れるということの先に、もう一段階越えなくてはならない「リカンベントの壁」があるのは間違いなさそうだ。でも、その壁は決して高くはない。

足先から腰までの距離の違いによって、フロントブームの(チェーンの長さを含める)調整が必要というのも障害になるだろう。ちなみにStreet Machineは身長制限があり、165cm以上の人向けとなっている。 このように、アップライトと違って気軽にどうぞ?と人に貸すのは難しいこともリカンベントが今ひとつ普及していない理由かもしれない。

最後に、リカンベントに試乗した田中パパの感想を紹介しよう。
「不思議な乗り物です。カマキリをはじめて昆虫カゴに入れた時のような・・・。かわいくないんだけど、カワイイ。変な奴でしたね。リカンベント。パパ」



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